極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
「ちょっと食欲不振で」
「じゃ、あったかいお茶でも淹れてこようか」
「あっ、大丈夫なんです。お茶ならここに」
ステンレスボトルには冷たいルイボスティを入れてある。
妊娠を告げられた直後はまったくなかったつわりが、ここ数日のうちにはじまったようなのだ。味の濃いものやあたたかい食べ物を受け付けなくなった。
社員食堂で食べられるものがなく、独特の匂いや人混みも苦手になってしまった。そのためこうしてサラダを持参して、人の少ない休憩室でとるようにしている。
自宅でもこのところずっと生野菜ばかり。吐き気がないのは助かるが、胃のあたりがずっとムカムカしている。
「ね、藤倉さん、ひとつ聞いてもいい?」
百合香が真剣な表情をして美羽を見る。
「なんでしょうか」
「違っていたらごめんね。もしかして妊娠してる?」
「えぇっ!?」
あまりにも驚いて大きな声になった。