極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「最近ずっと元気がないし、顔色も悪いなって思ってたの。それに少し瘦せたでしょ。食欲不振で冷たいものばかり食べてるのって、私のときと同じだから」
「兼平さんもそうだったんですか?」


自分と同じだったという言葉に乗せられ、思わず口走っていた。


「やっぱりそうなのね」


そう言われて自分の問題発言に気づく。


「あっ、いえ、違うんです。そうじゃなくて、兼平さんのときはそうだったんですね、という単なる世間話です。ほんとに――」
「そんなに慌てなくても大丈夫」


大慌てで否定するが、百合香にはお見通しらしい。取り乱す美羽と対照的に、慈悲深い笑みで宥める。

たぶん彼女には嘘をつきとおせない。いくら誤魔化しても無駄だろうと即座に察する。
妊娠経験者だからなおさらだ。


「それで体は大丈夫なの?」


優しい口調が心に染みた。
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