極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
美羽に離婚前提の契約結婚を提案したのも、そんな考えからだった。一度結婚に失敗すれば、両親もそれ以上縁談を持ち込まないだろうと目論んだのだ。
ところが契約の名の元に彼女と結婚したこの二カ月のうちに、翔の心に少しずつ変化が生じていた。
仕事に対する彼女のひたむきな一面や、お客様を第一に考えて行動する姿がやけに気になるのだ。
困っているお客様はいないか、常にアンテナを張り巡らせている様子は見ていてわかるもの。空港内でそれほど頻繁に会うことのない翔がそう感じるくらいだから、彼女の仕事ぶりはいつもそうなのだろう。事実、上層部の間でも美羽の評価はとても高いと聞く。
今シーズン初の降雪があったのはクリスマスの翌日だった。その日、翔は札幌行きの便に搭乗予定だった。
事前のブリーフィングの時点では雪の降り出しは数時間後、飛行機が離陸した後との予報だった。機体はすでに点検整備を終え、ターミナルビルにつけられている状態。翔たちクルーが搭乗のためにゲートへ向かうと、グランドスタッフのチーフである百合香から『先ほどから雪が降りはじめて、主翼が薄っすらと白くなっています』との報告を受けた。
聞けば、美羽が最初に気づき、念のために報告したほうがいいのではないかと百合香に伝えたという。