極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「美羽が大丈夫でも、俺は大丈夫じゃない」


意味がまったくわからない。


「離婚撤回が不服なら、美羽の気持ちを全力で変えるしかないな」
「そんなことどうやって――」


翔が近づいた次の瞬間、視界が彼でいっぱいになり、唇にはふにゃりという感触がした。不意打ちのキスだった。


「こうやって」


一瞬のうちに真っ白になった美羽の頭を翔がポンとして立ち上がる。


「じゃ、おやすみ。今夜はゆっくり眠れよ」


呆然とする美羽を置き、翔は部屋を出ていった。

あの夜のように激情に駆られたキスではなく、労るような優しいキスが、美羽を戸惑いの渦に巻き込んでいく。

(今の、なに……? どうして?)

ぽつねんとしたまま無意識に唇に指先で触れる。

ふたりの間にはなにもなかったと思い込みたいのに、激しく交わった夜の記憶がそうはさせてくれない。

突然の方針変更についていけず、その夜もまた眠れない予感がした。
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