私の推しは世界一!!
「はぁっ……。

 残念です、先輩……。」



「はいはい。

 残念残念。

 分かったならさっさと、」



嘘でしょ絶対!!

そんなこと思ってないクセに!!



という本心は

私も大人だから言わない。

コイツよりも大人だからね!!私は!!


一歳も年上だからね!




「せっかく"リオン"のポストカードが手に入って差し上げようと……。」



「ちょっと待って!?それって、まさか……!!!」






あ!あのっ!!



2週間前に発売されたレア版の…………!!!!



人気すぎて手に入らない……!?






「あれ、とは分かりませんが、2週間前に買いました。」


「……利穏くん。」





うん。

これはしょうがない、よね?



「お昼はいつもの中庭でいい??」



今日の天気は晴れなり。


そんな日には外で食べたいよね?ね?


異論は認めん。


天気がいい日は外で食べる。


これが鉄則!!


別にイケメンで有名なコイツにイヤミを言われたところをたまたま中庭にいた他人に聞かせて評判下げてやろうかとか考えてない…………、よ。うん。






…………………………ちょっと思っているダケで。





「分かりました。じゃあな、姉貴。」



「はいはい。いってら。」



「えっ?笑実ちゃん行かないの??」



「あたしは学校までも

 このバカな弟といたくないの。」



「そっか……。」



この姉弟、

仲がいいのかどうか分からないな……。

別に悪いわけじゃないんだろうけど。




「センパイ、もたもたしていると置いていきますよ。」



「それ、本末転倒ってやつじゃ……。」





そっちが誘ったんでしょ!?

置いていったらだめじゃん!!

 




とはいえ、

ホントに置いていかれたら

ポストカードが手に入らない……。





急いでお弁当を持ち、

利穏くんと教室を出ようとするとき

ふと思った。





そういえばいつも利穏くんと食べてる気がする。

気のせいかな?










そんなことを考えていたせいで


「今日も連れていったわ……、あの子……。」


という笑実ちゃんの独り言が

聞こえていなかった。
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