棗ちゃんはステキな恋がしたい
そんなこと今ここで聞かないで~!
一斗がみんなの前でそういう恥ずかしいこと言うわけないし。
会わない間に心変わりしてたら悲しいし。
「好きじゃないヤツ。わざわざ休みの日にこっちから呼び出すかよ」
~~!!!
「聞いた? 今の」
「洲崎くんがデレた」
「仮屋さんより洲崎くんの方が好きっぽくない?」
「告白は洲崎くんからに一票!」
これじゃあ、あっという間にウワサが広がっちゃう。
「ちょ、ちょっと」
一斗の腕を引っ張り、はや歩きでひと気のない場所まで移動する。
向かったのは、めったに誰も来ない、いつもの階段だ。
「今日は早いんだね」
「まあな」
「心を入れかえて。勉強頑張ろー、みたいな?」
「いや」
「ちがうんだ?」
「単純に。はやくナツメに会いたかった」