販売員だって恋します
「はい。いろいろ言ってましたよ。」

最低とか、意地悪とか……悪口じゃん、これは言えないっ!

えーと他には……綺麗?!
由佳ちゃん、ごめん、分かんない?!隙はないけど、あの人綺麗か?!
いや、そこは個々の好みがある。
綺麗なら、絶対、翔馬さんのが綺麗だし!違う!そこじゃない。
あ!由佳ちゃんのことを可愛いとか!それは、分かる!!

「由佳ちゃんのことを可愛いんですよね?」
『そうですね。』

受話器の先の声が途端に甘くて、奏はまた携帯を落としそうになった。

「あのー、由佳ちゃん今日はちょっとマズそうなんですけど、お迎えとか、お願いできます?」
『もちろん。どちらです?』

大藤は秘書らしく、テキパキと場所を聞いて、20分ほどで伺いますので、そのまま、動かないでくださいと電話を切った。

奏が、ふと見ると、由佳は完全に沈没状態だ。
本当に珍しい。

奏は由佳の頭をよしよし、と撫でる。
「むちゃくちゃ、愛されてるじゃん。」

可愛い由佳が、愛されているのはとても嬉しいけど、少し淋しい。
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