販売員だって恋します
「いつですか?」
とメールで返した由佳に、日にちと時間の指定があった。

そして少し間が空いてから、『神崎氏からの話だが何か心当たりがあるのか?』と聞かれる。

心当たりなどなにもない。
少しづつ仲良くなりたいと言われ、一緒に出かけてそのままだ。

──なにを言っているんだろう?
そう思っていると、携帯が手の中で鳴った。
父からだ。

「お父さん?」
『由佳……元気か?』

神崎から父が由佳を自慢に思っているようだ。
などと聞いて、今までのように父のことを厳格なだけの人だとも思えなくなった、由佳である。

「はい……元気です。」
『メール、確認したか?』

「はい。でも、お父さんがおっしゃるような、心当たりはなにもなくて。以前にお会いした時に、結婚を前提に……と言うようなことは言われましたけど、その時はお断りしてますし。」

その時のことを思い出しながら、由佳は父に伝える。

それで少しづつ、仲良くなりたいという話になったような気がするのだ。
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