販売員だって恋します
秋口の庭は、おそらくは、まだグリーンが映えていることと予想して、由佳はオフホワイトのワンピースを選んだ。ガーデンパーティと言えば外なので、つばの大きい帽子を用意する。

日傘では万一の時、芝を傷つけてしまってはいけないという由佳の配慮だ。

ホテルのロビーに時間より早めに到着した由佳は、ソファに座って待っていた。

「ゆーちゃん。」
そう声を掛けてきた神崎もオフホワイトのスーツで、その姿はロビーの注目を集めている。

「神崎さん。」
由佳はソファから立ち上がった。

下手をすれば、品を失いかねない白系のスーツを品を維持したまま、着こなすのはさすがだ。

シャツの組み合わせか、育ちかなあ……。
中のシャツがブルーのストライプで、ビタミンカラーのネクタイとの組み合わせは爽やかな雰囲気を醸し出しており、由佳は感心していた。

「可愛すぎてすっごく目立っている。あー、やっぱゆーちゃんにお願いしてよかったよ。」

にこっと笑う、神崎はとても嬉しそうだ。
「神崎さんも素敵ですよ。」
「神崎さん、じゃないでしょ?やっくん、靖幸くんでもいいけど。」
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