先生が好きです、好きでした◆おまけのお話追加しました◆
「杉浦さん、修学旅行の目的やねらいは何かわかりますか?」

梶先生は優しく話しかけてくる。私は顔を埋めたまま、ぼそっと答える。

「……社会勉強?」

「そうですね、集団生活や共同生活での体験を通して、対人関係を学んだり、自然や文化などの見聞を広めるのです」

ああ、ぐじぐじしている私は全然ダメだ。
対人関係なんて今は最悪の状況だもん。

「でもね」

先生は優しく私の肩に触れた。
触られた部分から熱を帯びていくように、私の心臓はきゅんと跳ねる。恐る恐る顔を上げると、柔らかく微笑む梶先生が私を見て言う。

「そんなのは建前で楽しんだもの勝ちだと思うんですよ、僕は。学生生活なんてこれからの人生を考えればとても短い。何があったって、過ぎてしまえばすべてはいい経験となりますよ。だけどやっぱり、その経験は楽しい思い出のほうがいいですよね」

先生の言葉は屈託なくすっと心に入っていく。感動にも似たこの気持ちに胸が高鳴った。
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