憧れの陛下との新婚初夜に、王弟がやってきた!?
自室に戻った私はへにゃへにゃとへたり込んだ。
短時間でいろいろな事が起きすぎて、私の頭の中はパンク寸前だった。
まさか、人様の…とんでもない場面を見てしまった。
無意識にフラッシュバックしてきた光景を、私は慌てて首を振って頭の中から追い出した。
そして意識を他にやろうとして思いだしたのがジェイドの腕の中の感触で…。
「ひやぁぁ」
じたばたと手を振り回してそれも頭から追い出す。そうして今度はみっともなく泣き喚いた自分の醜態を思い出して落ち込んでそして最後に思い出したのが、別れる寸前に盗み見たジェイドの麗しくもかわいらしいテレ顔だった。
昔はよく、今よりもかわいらしくお人形のような顔であんな風に照れていたこともあったけど、あれだけ大人の男の色気をまとった上でのあの表情は反則だ。
普段キリリとしてどこか近寄りがたく怖い雰囲気を纏っている彼の、不意に見せた甘い微笑みを見てから、私の胸は五月蠅く騒ぎっぱなしだ。
やばいわ、どうしよう。
そうしてまた先ほどのジェイドの胸のぬくもりを思い出して、私はフルフルと震えた。
惹かれてはだめだ、だって彼は絶対に好きになってはダメな相手なのだから。
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