憧れの陛下との新婚初夜に、王弟がやってきた!?
ジェイドの容態が安定して、彼が居室に移されたのはそれから2日後の事であった。
なかなか高熱が下がらず、意識が混濁しているとの報告だけしか聞いていなかった私もユーリ様もそろって眠れぬ夜を過ごした。
その間にもジェイドの部下たちは着々と状況整理を終え、犯行に及んだ男たち及び最初に「侵略者が!」と言って飛び込んできた男たちの身辺調査から尋問までを終え、今回の事件の全貌を明らかにしていった。結局のところ、やはり彼らの狙いは最初から私だったらしい。
そしてどうやら彼らの素性は、革新派の息がかかった者達であることが分かってきたというのだ。順当に今代は革新派から王妃を出すべきだと主張していた内の一部の過激な者達が、穏健派から王妃になった私を消すことで、次は革新派から王妃を選ばせようと画策しての犯行だったらし。そして最初に飛び込んできた男たちもその一派で、彼らの襲撃で混乱したところで私を警護するふりをして、殺そうとしたものの、直前に近衛の不審な動きに気が付いたジェイドによって阻まれた…という事らしい。
しかし確たる証拠はなく、今現在はその辺りの調査を行っているそうだ。
結局私はまんまと彼らの策にはまってしまったのだ。
それが悔やまれてならない。
しかし私自身が有事の際の警備の基本的な動きについての知識が無かったのだ。本来そんな事は警護される身の…しかも王妃が知っておくべき事でもないため、それは仕方ない事だと誰もが口々に言っていた。なによりも、暗殺者は王族を守るはずの近衛だったのだ。一番信頼しているべき者たちで、よもや彼らが刃を向けるなど誰も思ってもいなかった。
ゆえに、今近衛ではモリス長官を筆頭に、協力者が他にもいなかったかの洗い出しがされているそうだ。
とにかくそんなわけで、私とユーリ様を固める面々がいつもと違い、勝手もすこしばかり変わってくる。
しかしそれをいいことに、私とユーリ様は時間を見つけては、ジェイドの側に着くようにしていた。
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