憧れの陛下との新婚初夜に、王弟がやってきた!?
王宮に戻ってから、召し替えを済ませると、私もユーリ様も無言でリビングで過ごした。
今日はもともと式典の後という事もあって二人とも公務をいれていなかったが、おそらく公務があってもこんな事の後ではまともにできなかったに違いない。
そんな中で、私達につけられたジェイド直下の部下から、少しずつ報告が入ってきた。
結局のところジェイドは、私達が馬車であの場を後にした直後、処置に駆け付けた医者により手当を受けたらしい。そのまま現場の指揮を続けようとしたところを、ユーリ様の命を受けたテレンスにより説得され、馬車に乗せられ王宮までは戻ってきたという事だった。
今現在は医務所で傷口の消毒と縫合の処置が行われているという。
今日の彼は王族としての参加の役割もあったものの、この式典の警備の指揮官でもあったため、儀礼服の下には平時に使用されている防具を着込んでいたらしい。
それが功を奏したようで、傷の深さはさほど深くはないという。
命に別状はないものの、出血が多かった事と傷口の炎症で発熱をしているとの報告だった。
この晩は有事に備えて医務所で経過を見て、良好ならば明日には自室での療養となるらしい。とにかく命に係わる状況でないと聞いた瞬間に私は張りつめていたものが切れたかのように、その場にへたり込んだ。
私の軽率な行動のせいで、ジェイドに大きな怪我を負わせる事態になってしまったのだ。もしこれでジェイドに何かあったら…とずっと自分を責めていた。
そんな私の隣に私を支えるように座ったユーリ様は、ゆっくりと私の背を撫でた。
「あいつは戦場で前線に出て戦っていた男なんだから、ちょっとやそっとの怪我じゃあ死にはしないよ。それよりアルマが自分を責めていることの方が、アイツはつらいと思うよ」
「っ…でもっ!!」
もう少しあの時、近衛の行動に疑問を持っていたら…そう思わずにはいられなかった。
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