脆姫は過去に生きる
この時代には当然のようにある戦い。
それに医軍と呼ばれる人がいたとしても、漢方薬のようなものを使ったり、脈を手で触れるだけのまだまだ医療の発展もしていない状態ということはすでにわかっている。

その中で・・・戦いに行くことは決して安易なことではなくもしかしたら鉄平の命が危ぶまれる事態かも知れないと思うと動揺せずにいられない。

せっかく会えたのに。
ぬくもりを確かめることができたのに。
もしかしたらまた会えなくなるの・・・?


また失ってしまうの・・・?


「紅姫?」
話をとめた私を心配そうに富さんが顔を覗き込む。
「大丈夫ですか?医軍を呼びますか?」
私は鉄平が体の弱い私との婚姻を反対されていることを思い出して首をとっさに横に振った。
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