脆姫は過去に生きる
「もしかして・・・王はほかの姫と一緒に何かをしたり・・・する?」
私の質問に富さんは目を丸くして答えた。

「それを誰もが望んでいますが王は望んでいないのが問題です。紅姫はお体的にも世継ぎの出産は難しい。それでも王はほかの姫たちを迎えようとはしないのが問題なんです。」
この時代の人はきっと私と感覚が違うはず。

「ただ、ここにいる姫たちはどなたも国の安泰のために言わば王のそばに置くことで情勢を保つという役を持っておいでの方ばかりです。幼いころからの私情でここにいるのは紅姫だけですよ。」
「・・・そう・・・」
「だからこそ、体を大切になさって、王の気持ちにおこたえしなくてはなりません。ただ、一国の王である方を支え、国益になるような行動を冷静に判断することも紅姫には大切な使命なのです。」
富さんは具体的には言わなかった。それでもわかる。

きっと王に愛されている私が世継ぎを産めないことは国の存続につながる大事。
だから、王を説得してほかの姫との間に子をもうけてもらうことも、私には大切な使命なのだろう。

私の体がもっと・・・丈夫だったら・・・
世界が変わっても私は不満足な体に、苦しめられる運命なのだと、自分に嫌気がさした。
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