余りもの王女は獣人の国で溺愛される
 そうした孤児院への支援は王国と王族の義務となり、主に孤児院へは王族の女性が表立って支援することとなっている。

 現在、その役割は正妃と側妃と第三王女の私の仕事となっており、主に一番時間の都合がつく私が主担当となっている。

「マジェリカ様。馬車の用意が整いました」

 王女宮の入り口で、侍女のリエナがドアを開けつつ報告してくれる。

「ありがとう。今日はリエナがついてくるのね?」

「はい。本日はお供いたします」

 用意された馬車に乗り込み私は、王女宮から城下へと降りるための門を通過し教会を目指して移動する。

 馬車に揺られて、三十分ほどで教会に着くと王家の紋章に反応して教会の広場で遊んでいた子ども達が駆け寄ってくる。

 馬車が止まり、私が顔を出せば子ども達はお行儀よく並んで挨拶をしてくれた。

 「ごきげんよう、マジェリカ王女様」

 一番年長の女の子が声に出して挨拶すれば、それに習って周りの子達も頭を下げて挨拶をしてくれる。

「ごきげんよう。皆さん、変わりなく過ごせているかしら? なにか不足はない? あればすぐに私宛に文を出してくれたら用意しますから、遠慮なく言うのですよ。 次のバザー用にまたハンカチを持ってきましたからね」

 私が話しかけると、子ども達はしっかりと頷き「はい」と元気に返事をしてくれた。

「マジェリカ様、ようこそお越しくださいました」

 慌てたように駆けつけたのは、ここのシスターアリア。
 シスターの中では最年長で、ここではみんなのおばあちゃまである。

「ごきげんよう、シスターアリア。慌てずとも良いのですよ。 次のバザー用にハンカチを持ってきました」

 私がバスケットを差し出すと、シスターアリアはしっかりと受け取るとにこやかに言う。
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