【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚


 バイトもそうだし、家のこともそう。いつ嫁に行ってもいいように一通りの料理や家事は出来るようになりなさいと言われて、小さい頃からやらされた。

 最初は一般家庭と違うという認識なんてなかったけど、中学に入った頃からそれに気付いた。わたしたちは、どこか普通の家庭とは違うと。……生まれも育ちも全く違うからこそ、中学の時はそれでからかわれたりしたこともあった。

 だけどそんな時、お兄ちゃんがいつも助けてくれた。そしてお母さんがいつも慰めてくれた。お母さんはいつも口癖のように言っていたことがあった。

 それは「あなたたちには、立派な大人になってほしい。だからあえて、こうやって一般家庭と同じような育て方をしているのよ。世の中に出て大人になった時に、恥じないような生き方をするために。 父親が社長でいくら裕福な生活をしていたとしても、一般常識がないと世の中から外れてしまうから」だった。

 その言葉を小さい頃から何十回も聞かされて、わたしたちは今に至る。 だけどそのおかげでわたしは、こうして新たな一歩を踏み出している。お母さんのおかげだ。
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