私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
しかし……異端であり、最も注視されているのが、『夜叉王』様だ。
天竜八部衆がひとつ、夜叉族。
鬼神の王族は代々剣の才に優れた者が排出される、戦に長けた剣豪の一族。かつての戦乱の時代には、魔族相手に鬼神の如く剣を振り、猛威を奮ったとのこと。
しかし、現在となっては、夜叉王様の治める夜叉王領は、農業、畜産が盛んな、謂わば農業大国。この天界では珍しい作物や花を育てているんだとか。
農作をするにあたって、見慣れない機械を発明して使用しているらしい。生産量も多く、この天界において、夜叉王領で育てられた食糧が、最も占有率が高い。
「へぇ。食糧シェア世界一ってか」
「しぇあ?……それに、夜叉王領の作物は品質も良くて美味しいし、人気があるの。値段も据え置きで」
そして、その夜叉王様は、そんな強みを持っているにも関わらず、善見城の内政には一切手出しをしないことでも有名だ。夜叉王様自身、登城せず自領に引きこもって淡々と農作に打ち込んでいるよう。
むしろもっと関わってきて欲しい……と、かつて韋駄天様がボヤいていたかも。
「ふーん……」