私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
だが、聖威はひと息吐いてから、私の問いに答えた。
「……いいんだよ」
「な、何で?」
少し間があったもの、あっさりと結論付けてしまった聖威に、思わず異をとなえたくなる。
聖威は、一瞬だけ寂しそうな顔を見せたが、それはわざとらしい咳払いで消えた。
「……目が覚めたんだよ。私はこの世界に恋愛しに来たんじゃない。特級犯罪人、兄上を探しに来たんだ。本来の目的を忘れちゃいけない」
「聖威っ……」
「それに、私は異世界の者だ。……いずれは、月輪界に帰る身。好きな男が出来たところで、それは永遠とならない」
「……」
少しの間だったけど、ほんの小さなものだったけど。
せっかく芽吹いた想いだったのに。勿体無い。というのが本心だった。
しかし、聖威たちはこの任務が終われば……架威を捕まえたら、月輪界へ帰る。
互いに身を置く世界が違うから、永遠にはならない。
《聖威、待って!話を……!》
でも、だからといって。
これで終わりにしてしまって、いいのだろうか?
……あの必死な天王様の表情を思い出すと、そう思えてならなかった。
苺のように甘いのか、酸っぱいのか。