私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
すると、「泣くのはまだ早いよ?」と、隣にいた竜樹様の優しい口調の声が耳に入る。
ハッと我に返って顔を上げると、女殺しと言われた竜樹様の甘ったるい笑顔と目が合った。
……そうだ、私。
これで終わりじゃない。
目を軽く擦って、竜樹様とお互い頷き合う。
これで、戦いは終わりじゃないんだ。
その思いに報いるためにも、私はまだ戦い続ける。
心強い後ろ盾を得て、私はキッと前を向いた。
視界の隅には、実の妹による、不利な証言に茫然とする朝霧様がいる。……が、そこはお呼びではない。
目の前の敵である、韋駄天様の姿をした架威をしかと視界に入れた。
魂が抜けかかっている息子とは違い、韋駄天様もとい架威は、表情を崩さず、何の反応もない。
……と、言いたいところだが。
その視線が。
憎悪のあまり釣り上がった目が、私たちを睨み付けていた。
そこで、竜樹様が「裁判官殿、よろしいでしょうか?」と、挙手する。
許可を得た後、声高らかに大きな声で、裁判官だけではなく、城内の観衆に語りかけた。
「……さて、話を戻して。その【被毒術式】の術陣のことですが。皆様に耳に入れて頂きたいことが、あります!」