私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

弾かれて少し後退し、崩れた体勢を整えながら、聖威は実の兄である犯罪人に叫びかける。

それを聞いた翼は、「おまえなぁ、この人には呼び掛けてもムダだとわかっとるだろうに……」と、苦笑いをしていた。



……けど、特級犯罪人でも、実の兄。割り切れない部分があるのは普通だ。

その証拠に、聖威はまだ呼び掛け続ける。



「『聖域』……ましてや『宿曜』など奪えるものではないと承知ではないのですか?!無駄なことはお辞め下さい、もう……逃げられませんよ」

「奪えるものではない?、無駄?……承知?果たしてそうか?そして……逃げられない、か?」



不敵に笑い出すその不気味さに、障気とは関係なく背筋をゾッとさせられる。

笑みをそのまま、架威は右手をゆっくりと天に翳していた。



「逃げられるに決まっているだろう?……その前に、この私を嵌めたおまえらとこの世界に一矢報いてやろう……」



架威の翳した掌からは……魔力が掌中されている。

……魔力?

先程からおかしいと思うところが多数ある。

架威は、特級程度の神術士のはずなのに、何故神力ではなく魔族の主な原動力である魔力を扱えるのだろう。

障気を放つことといい、まるで魔族だ。

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