私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。


障気がドン!と膨れ上がるのを、寒気で感じた。

同時に、障気が大気を巻き込むように、あちらこちらと方角めちゃくちゃに突風が吹き荒れる。

恐らく、架威の怒りにつられて障気も膨れ上がったのだろう。

架威が巻き起こした異変に、観衆の鋭い悲鳴が場内に響く中、竜樹様は咄嗟に私を背に庇う。

それと同時に、架威に向かって俊敏に飛び出したのは、傍にいた翼と……どこからともなく現れた、聖威だった。

……聖威は、傍聴の群衆の中に紛れて、裁判開始前からこの大広間に潜んでいたのだ。

裁判の最中に、架威がもしかしたら姿を見せて攻撃体勢に入るかもしれない。

その時のための迎撃要員として、人混みに姿を隠していた。



真っ正面から飛び掛かり、聖威は神術の術陣を、翼は自分の黒い刀身の得物を、それぞれ架威に向ける。

だが同時に、架威を守るように半円の結界壁が出現する。

二人の一斉攻撃はバシッと弾き返され、架威には届かなかった。

どこからともなく現れては自分に刃向かってきた聖威を、架威はギロッと睨み付ける。

「このネズミが……!」

「兄上!もうこれ以上、関係ない世界まで巻き込むのはお辞めください!」

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