私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

だとすると、何故?

何故、この世界の住人ではない……異世界の人たちに、私は捕まっているのか。

何故、異世界の人たちは、この幌馬車を壊したのか。

そして……何故、この世界の御者兼神術士と対峙しているのか?



ぐるぐると回る疑問だが、しかし。

彼らにとってはどうでもいい問題らしい。



「ふーん。で。その上級神術士とやらは、どれぐらい強いのかえ?」

「へっ……」

「俺たち、異世界の者だからこっちの基準わかんねえのよ。……うーん、例えるとだな?竜樹(りゅうじゅ)と、どっち強い?」

「はっ?り、竜樹って!……竜樹様っ?!」

「知ってる?イケメン生意気坊や。ぶふっ」

「知ってるも何も、竜樹様?!竜族の第二王子の竜樹様っ?!……あの御方は、特級中の特級、竜族の禁呪を皆伝している『天導師』よ?!天界では一、ニを争う実力で、敵う神術士なんていないわ?!」

「へー。そー」



なんて大物の名前を出してきたんだ。

竜王領を統治する、天竜八部衆が一人、竜王様の第二子、竜樹様。

幼き頃から神術の才を以て、この天界史上最年少で『天導師』の称号を得た、若き神童。

神術を心得てる者なら、誰もが知っている。そこの上級神術士とどちらが強い?恐れ多い……!

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