私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
加えての迫力に、思わずたじろんでしまう。
さすが、神術士の最高峰である御方。私の使った治癒術式に興味を持たれたようだ。
無理もない。
神術士としての登録が無い私が、何故こんな適性の稀少な術式を使用できるのかと。
「こ、これは……昔、老師に教えてもらったもので……」
「老師?」
「私の生家、鳩槃茶兵士団に在籍していた者です……」
……この【光】の治癒術式【光の泉】は、私と老師を繋ぐ、唯一の思い出。
神術士の才がある。そう言って、密かに老師から指導を受けて修得した、私が使える唯一の神術だ。
神術士になることを父に反対され、後にも先にも使える神術は、これひとつ。
私の大切な、大切なものだ。
「鳩槃茶兵士団の……老師?鳩槃茶、鳩槃茶……誰だ?」
私の返答を受けて、目の前の竜樹様は天を仰いでブツブツと独語している。
何やら、考え事?
「おいおい竜樹さんよー。おまえさんの言う通り、お嬢さんを連れ出し、護送車破壊して術士らを鎮静してきたでー?聞いてるー?」
「神術のことになると夢中だな。この神術バカ」