青は、僕等に微笑まない

思いがけない由佐からのそんな言葉に、心臓がいっきにじわっとあったかくなる。

だけど、不満だってあるんだ。


「……由佐が、急に彼女なんかつくるから、せっかく仲直りして嬉しかったのに、どう接したらいいかわからなくて、なんか由佐が、知らない由佐みたいで、そしたら今みたいなこと言いだすし、なんかすごいムカつくんですけど」

「……うん。それな。ごめんなさい」

「あと、私も1個聞きたいことがある」

「うん」

「二年間、ずっと怒ってたのはどうして」



確か由佐はさっき、私は何も悪くないって言っていたけれど。


───"おまえさ、男をなめてんの?"


どう考えても私に非があるような言い方だった。

由佐の突き放したような低くて鋭い声。二年経った今でもよく憶えてる。


私の質問に視線を落とした由佐が、「あー…」と声を漏らしたあと、



「…………俺の、理性の問題。だからほんと、樹里はなんも悪くない」


また意味不明なことを言うから、私はもう考えるのをやめた。




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