青は、僕等に微笑まない
「幼なじみ」
──昔から由佐とはそういう…レンアイ話だけはしたことが無かった。
小学生の頃、1度だけクラスメイトの男の子に告白されたことがあって、だけど、誰かを"好き"って気持ちがわからなくて。
由佐に相談したら、
『樹里は一生わからなくていいよ』
って言われたことがある。
「──勝手な男だなぁ、田口君」
翌朝、由佐と正式に(?)仲直りしたことを愛ちゃんに伝えると、愛ちゃんは頬にぷっくり空気を含ませて、可愛い顔しながら由佐に悪態をついた。
「今まで通り過ごそうってなにそれ。そもそも田口君が怒ったせいで喧嘩になったのに」
「由佐なりの気遣いなんだと思う」
「田口君が気遣うなって言ったのに?」
「人は人、自分は自分。ってところあるから、由佐」
「なにそれ。口うるさいママみたい」
的確な例えすぎて、思わず笑ってしまう。