年下のかわいい後輩くんが彼氏になりました

私と啓太は皆を見送り、二人きりになる。

「啓太、来てくれてありがとう。ずっとね、啓太のこと考えててね。一人で泣いてたー」

「どうして優菜が泣くの?俺の方が泣きたい状況だったでしょ」

「だって啓太がさ、お別れのセリフみたいなこと言ってたから。私が言わせちゃったんだな、って。みんなの気持ちが分からない鈍感でごめんなさい」

「もう、豪先輩のことはいいの?優菜の中にもう豪先輩はいないの?」

「豪くんへの気持ちは中学で部活を引退した時に、もう消えていたんだよ」

これは本当の話。

だから春の大会で豪くんに会った時も、私の気持ちは全然揺るがなかった。

「本当に?豪先輩の方がかっこいいよ。俺よりしっかりしてるよ。バレーも上手だし」

「そんなに言うなら、豪くんのところに行っちゃってもいいの?」

私は今日啓太がやったように頬をプクッと膨らませて拗ねた。

「ダメ!それダメだから。もう俺にやきもち妬かせないでくれる?」

「うん」

私と啓太は手を繋いで、家へと帰った。その繋いだ手を離すことはなかった。


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