笑顔の花が咲くまでは#3~尊敬の花が流した涙~
「……僕は……この、孤児院出身で……殺された、子どもたちとは仲、良くて……」

サルビアは、つっかえながらゆっくりと過去を話し出す。

サルビアはアルビノであるため親に捨てられ、それからはずっと孤児院で過ごしていた。泣き虫だったサルビアは、施設長であるルクリア・アッカーマンに支えられ、前を向いて生きるようになった。

しかし、サルビアが孤児院を出る直前にルクリアは病気でこの世を去ったのだ。

「……っ」

過去を話し終えたサルビアの瞳から、涙が零れ落ちる。

皆は、それを黙って見つめることしか出来なかった。



「嘘……」

サルビアは、シオンから突き付けられた真実を信じることが出来ず、床に座り込む。

孤児院のことを調べていくうちに、惨殺された子どもたち以外にも何人かの子どもたちが行方不明になっていることが分かり、フィオナとレティシアが孤児院の職員として、潜入調査を始めて早1週間。

孤児院の今の施設長がお金儲けをするために子どもたちを殺し、臓器を密売していたことが発覚し、そのことをサルビアに話したのだ。

「サルビア、信じられないしれないけど……これが真実なのよ」

心配そうにサルビアを見つめたシオンは、そう言って俯いた。
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