笑顔の花が咲くまでは#3~尊敬の花が流した涙~
サルビアの傷付いた顔を、シオンは見ていられなかったのだ。

「……」

捜査本部が、重い空気に包まれる。コン、と小さく筆をパレットに置く音が、やけに大きく響いた。

「……お前ら、いつまで黙っているんだ。今の施設長を放っておく気か?」

画家のフリージア・テイラーの声が、響く。フリージアは、無表情でシオンを見つめた。

「……確かに、そうね」

フリージアの言葉に、シオンは頷く。皆が頷く中、サルビアは一人拳を強く握り締めた。



「どうして!どうして、子どもたちを……!」

孤児院に乗り込んだサルビアたちは、今の施設長と向き合っていた。

「……子どもたち……?あぁ……僕に殺された可哀想な子どもたちのことか……」

施設長は、表情を変えることなく涼しげな笑顔を浮かべながらそう言う。その様子を見て、エヴァンはゾッとした。

「……許さない」

そう呟いたサルビアは、施設長を睨むとどこから持って来たのか分からないが、ポケットからナイフを取り出す。

施設長は、ナイフを見て顔を真っ青にさせた。

サルビアの手に握られたナイフを見たシオンは、サルビアが何をしようとするのか気づき、サルビアを止めようと「サルビア!」とサルビアに向かって手を伸ばす。
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