愛して欲しいなんて言わない!
西九条がため息をついた

「あいつを呼んだのはお前か?」

呆れたような声だ
勘違いされているようだ

「違う
勝手に来て、勝手に居座った
だから私もさっそと部屋に戻って
寝たんだ」

「青山先生はお前があがらせたと
言っていたぞ」

「ここは西九条の家だから
私の意見は聞かないって」

「そっか
わかった」

西九条は毛布を体から離すと
体勢をかえた

体を回転して
私のほうに体全体を向けた

「信じるのか?」

「俺に嘘を言ったのか?」

「嘘は言ってない」

青山先生の言葉より
私の言葉を信じてくれた

嬉しい

「理菜は強がって
口調を悪ぶるが
決して嘘をついたり
他人を困らせたりするような子じゃない」

西九条はベッドに腰を下ろすと
私の頭を優しく撫でた

「西九条はずるい」

「え?」

西九条が驚いた声をあげた

「もう寝る!」

私は布団を頭までかぶった
きっと私の今の顔は真っ赤だ
恥ずかしくて頬が熱い

「理菜、寝室で寝よう」

西九条が布団を掴んでいる私の手を
優しく握りしめた


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