愛して欲しいなんて言わない!

シングルベッド

深夜2時
私はがばっと起き上がった

知らないうちに眠っていた
西九条がキスをして
びっくりして眠れないと思っていたら

すっかり寝ていたよ

「どうした?」

低い声に私は驚いて視線を横に移動した
西九条がベッドに寄りかかるように
床に座っていた

顔だけを動かして
私のほうを見ていた

え?
なんでここに西九条がいるの?

西九条はパジャマの上に
紺色のガウンを羽織って、毛布に包まっていた

床に座って
寝ていたのだろうか?

「今、何時?」

「2時だ
さっき鳩時計が2回鳴ってた」

「起きてたの?」

「仕事をしてたら遅くなってな
今、ここに来たばかりなんだ」

「ここ?
なんで?
ベッドで寝ればいいじゃん」

「理菜の寝顔が見たかった」

「は?」

暗くて西九条の表情まではわからない
けれど
優しい声が私の心の奥をくすぐる

「あ、青山先生はどうしたんだよ」

帰ったって知っているけど
二人のやり取りは寝てて知らないって
ことになっていなっている

それに
西九条の口から聞きたい
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