愛して欲しいなんて言わない!
西九条が急に
肩を震わせて笑った

「理菜ってさ
他人を気にしてないように
振舞っているくせに
結構、気にして行動するよな」

西九条が私の髪を触った

「あの時も…」

「あの時?」

私は西九条の言葉を繰り返した

「いや、何でもない」

「気になるんだけど」

「昔の話だ」

「あのさ」

私は西九条から離れると
体を起こした

「私、見合い以前に
西九条と会ったことあるの?」

「あるよ」

枕に埋もれながら、
西九条が答えた

「いつ?」

「理菜が6歳のときかな?
なんかのパーティだったよ」

「パーティ…父親によく連れられて
幼いころはよく行っていたから
覚えてないよ」

「そうだろうね
俺、理菜に話かけてないし
会話もしなかった

ただ見てただけだから
記憶にないんだろう」

西九条はそんな昔から私を知っていたの?

「さあ、もう寝よう
明日の朝、寝坊してしまう」

西九条は会話を打ち切ると
私に背を向けて
すぐに寝息をたてた
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