愛して欲しいなんて言わない!
夢現で私は朝ごはんを食べた

西九条が掃除や洗濯をしている間
私はソファでぼーっとしていた

時折、意識が遠くなったから
たぶん
寝てたんだと思う

8時半を過ぎて
私がテレビをつけたのと
ほぼ同時に家の電話が鳴った

洗濯かごを持っていて室内を
歩いていた西九条が
電話に出た

「オヤジ?」

西九条の表情が険しくなる
眉間にしわを寄せて
不機嫌な声で返事をしていた

「は?
今から?
え?
下に?」

電話を切った西九条が
鋭い眼のまま
私を見つめた

「父親が来る
もう下にいるらしい」

え?
もう来てるってどういうこと?

私は焦って
立ちあがるが
何をしたらいいのか
わからず

クッションを抱きしめたまま
またソファに座った

インターフォンが鳴り響いた

もうドアの前まで来ているようだ
私はクッションをソファに置くと
まだ整えてもいない髪を指で梳かした

西九条は手に持っている籠を
洗面所に置くと
玄関に向かう

私も小走りで
玄関に向かった
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