愛して欲しいなんて言わない!

理科研究室

『放課後、資料整理の手伝い
よろしくな』

西九条に呼び出された
学級委員としての仕事?なのだろうか

終礼が終わって
帰りの支度をしてから
理科研究室に来いと言われたけど…

どうやら呼びだれたのは
私一人だけだった

誰もいない理科研究室に
私はぼーっと立ち尽くしていた

「悪いな
頼めるのが、理菜しか
いなかったんだ」

息をきらして
研究室に入ってきた西九条を
見るなり

私は首をかしげた

「先生なら一声で
女子生徒がうじゃうじゃ来ると
思いますけど?」

「それじゃあ
噂になるだろ」

「噂?」

「そう」

西九条はそう言って
封筒を私の前でチラつかせた

「退職願い?
えっ?
西九条先生、辞めるの?」

寂しそうにほほ笑むと
西九条が頷いた

「だって、
昨日、仕事を辞めたくないから
青山先生とのことは…」

「ま、そうなんだけど…
いろいろあってね」

西九条が言葉を濁すと
手に持っていて段ボールを
組み立て始めた

「いろいろって何?」

「帰ったら話すよ」

西九条の笑顔がすごく悲しそうだ
私は口を開きかけると
西九条が私にキスをした

「学校にいれるのも長くないし
ここでイチャイチャするのも
悪くないかな?」

西九条は私に抱きつくと
首筋にキスを落とした
< 145 / 151 >

この作品をシェア

pagetop