愛して欲しいなんて言わない!
「ちょ…ちょっと!」

「冗談だよ」

西九条は私に背を向けて
段ボールに自分の荷物を入れ始めた

「いつ?」

「何が?」

「辞めるの」

「教師は今日でおしまい
明日からオヤジの会社に就職する」

「え? どうして!」

「いろいろ…あったんだ」

背を向けている西九条の声が
暗い

どうして話してくれないのだろう
どうして苦しみをわけてくれないのだろう

私は近くにあった本を掴むと
黙って段ボールに投げ込んだ
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