愛して欲しいなんて言わない!

遅刻

3時間目の開始ベルが鳴る前に
私は鈴子さんに
送ってもらった

本当は休みたかったよ

しかも3時間目と言えば…

西九条担当の理科だ

最低最悪
今は一番、見たくない顔

ベルが鳴るなり、
西九条はすぐに教室に入ってきた

白衣を着て
手には教科書とバインダー
自前のチョークを箱に入れて
持ってきた

私の席を見て
来ているのを確認すると、
西九条は
教科書類を机の上に置いた

「最初の授業から
勉強というのは
つまらないから
今日は軽く説明して
終わりにしような」

なんて優しい顔で
西九条は声を出す

知っているよ
その笑顔に隠れた
腹黒い思いを

私は知っている

冷たくて無愛想で

『馬鹿は勉強しに行け』
メモに書かれてあったのを
思い出すと

私は腹立たしくて
西九条から視線をそらした
< 34 / 151 >

この作品をシェア

pagetop