愛して欲しいなんて言わない！

青山は凄く気合いが入っている

好きな人に会うために
綺麗に化粧をして

好きな人に触れてもらえるように
少し露出度のある服を着ていた

…私は
パジャマだ

ちょっと恥ずかしい

「あー
とりあえず、私は部屋にいるから
話しは二人でお願いします」

私はサンダルから
スリッパに履き替えると

パタパタと音を立てて
家の中に入っていく

「小西さん
どうしてあなたがここに？」

私は振り返ると
どう説明しようか
首を捻った

「私、家出中だから
西九条に世話になってるだけ」

本当っぽい嘘になっただろうか？
…てか
嘘をつく必要はないけど

なんか青山が可哀想に見えた

ざまあみろって思っている気持もある

でも
こんな西九条のために頑張っている
青山も哀れだ

「家出中？」

「そう、私の部屋
母親の愛人部屋になったから
家を飛び出してやったんだ

行くあてがなくてさ
西九条に相談して

住処が決まるまで
世話になってる」

青山がほっと息をついていた

振り返った西九条が
私を睨んでいた

『なんで嘘をつく？』
と顔に書いてあった

別にいいじゃん

同僚に知られたくないだろ？
担当しているクラスの生徒に
政略結婚で婚姻関係となった妻がいるだなんて

きっと西九条だって
言いたくないに決まっている