愛して欲しいなんて言わない！

「へいへい
タダ飯を食わせてもらったお礼も
あるしね～

ピカピカにしましょうか？」

私はモップで
床を掃除し始めた

客がいないと
掃除がはかどる

掃除なんて面倒くさいって
呟いていた私だけど

今は楽しいと思える

「私、思うんだけど
用事が終われば
西九条さんは理菜の迎えに
来ると思うんだ」

「ガソリン代が勿体ない
って言う男だよ
来るわけないじゃん」

「強がりだよ
心配であちこち探してたって
思われたくない男心じゃない？」

「ないない
ありえないよ」

「そうかな？
だって理菜がつらいって
思うときは
必ず、西九条さんが
傍にいてくれてるんでしょ？」

優衣の発言に
私は掃除の手を止めた

家に帰りたいって思った時は
確かに
西九条が傍にいて……

傍にいて？

母親の愛人とご対面をした時も

私よりつらそうな顔をしてた

…変だ

どうして西九条が
傍にいるんだろう？

なんで私より
つらそうな顔をしてるんだ？

「優衣
私を混乱させないでよ」

わからなくなる

それに
西九条を意識しちゃうじゃないか