幼女で領主で聖女様！？名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる！

　創世神からこの世界の管理を任されたアビゲイルは、固有の能力を持たない人間を哀れみ、人間にスキルと呼ばれる特殊能力を与えることとした。その特殊能力は、五歳の誕生日に誰でも平等に授けられるとされているが、何が授けられるのかはその場になってみないとわからない。
　そして、役に立つ有用なスキルと、あまり役に立たないとされるスキルがあり、どのようなスキルを授かるかによって、その後の人生がある程度決まってしまう。

（お父様は、"剣神"、お母様は、"作物育成"……だったよね、たしか）

　父のスキルは、非常に剣に優れ、ひとたび戦に出れば、百人の敵を一度にしても負けないというスキルである。父だけではなく、フリードベルク公爵家には戦に有用なスキルを持つ者が多数出現している。

（……たしかにスキルって遺伝によるものが多いみたいだけど）

　有用なスキルを持つ者からは、有用なスキルを持つ子が生まれることが多い。そのため、有用なスキルは、政略結婚を繰り返している貴族の家系に多く、有用ではない"外れ"とされるスキルは庶民の間に多く見られる。