幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 別に相手が人間でなければならないというわけでもないのだ。オルシウスの場合は、木から生気を分けてもらうのを好んでいる。
 花でもいいのだが、樹木の方が長生きしている分、少し生気をいただいても問題はないのだ。

「じゃあ、仲間も一緒にうちに来る? 血ってたくさんいるの?」
「家畜を絞めた時、グラスに一杯血を分けてもらえれば大丈夫かなぁ。それも、毎日じゃないし」
「オルシウス、それは鶏でも豚でもいいということですか?」
「各自、好みはあるけど――牛でも兎でも問題ない」

 口を挟んだアルダリオンは、オルシウスの返事にふむ、と考える表情になる。
 実際、血を必要とするのは、成長途中の若者だけ。オルシウスは、自分で言ったように、生気を少し分けてもらえば問題ないのだ。

「吸血鬼の能力というのはかなりのものですからね……私達より夜目もきくでしょうから、悪くないかもしれません」
「だからって、吸血鬼を招き入れるのはなぁ……」

 サージは渋い顔をしているが、最終的に結論を下すのは領主の役割だ。皆がわいわいと意見を出し合っているのを、オルシウスはじっと見ていた。

(本当に、ここの者達は面白い)

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