幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 どうやら、皆、同じような経緯で拾われて来たらしい。言葉を失っているオルシウスの目の前で、サージがリーゼの頭をぐしゃぐしゃとかき回している。

「だって、帰っても居心地が悪いんだったらかわいそうじゃない?」

 面白い。オルシウスはリーゼをそう判断する。

(この子、見た目通りじゃないんだろうなぁ……)

 五歳でこの地に追いやられたというけれど、彼女はその不幸な境遇に負けてはいない。
 ――面白い。
 それに、吸血鬼は血を吸わなくても大丈夫なのだ。

「血が必要なのは、若者だけだよ。僕くらいになると、生きているものからちょっぴり生気を分けてもらうだけで大丈夫だからね。酔うのは瘴気を吸った時だけだし――この屋敷なら、瘴気が発生することはまずないでしょ」
「どうやって生気を分けるの?」

 興味津々でリーゼが身を乗り出す。オルシウスは肩をすくめた。

「うーん、そうだね。例えば動植物に触れるとかそんな感じ。僕は木からもらうのが好きかな。あとは普通に食事をすれば、生きていく分には問題ないしね。まあ、若い仲間はちょっと困ってるみたいだけど」

< 199 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop