幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 絶対に、彼らは何かたくらんでいる。戻ってきたら、聞かせてもらうしかないだろう。
 

 * * *

  

 街の人達も、今は交代で眠りについている。
 オルシウスは、共にリーゼの屋敷で暮らしている仲間達を見回した。

「それじゃ君達。一緒に来てもらえるかな?」
「喜んで」

 胸に手をあて、にっこりと微笑んだのは、共に暮らしている仲間の中でも、一番年齢を重ねた女だ。一番年齢を重ねたと言っても、吸血鬼達は老いるということはない。
 身体の線が露出する黒いドレスを身に付けた彼女も、人間の目から見れば、二十代後半というところだろう。
 丁寧に紅を塗った唇が、ゆるりと弧を描く。自分の美しさを、彼女は十分に知っていた。

「食べてもよろしいんですの?」
「生気を奪う程度にしておいてね。適当に、ほどほどに弱らせて。殺すのは駄目だよ。リーゼちゃんが嫌がるからね」
「オルシウス様、今回、仲間は増やさなくてよいのですか?」

 そう手を上げて問いかけてきたのは、仲間のうちでも若い男だった。オルシウスが、吸血鬼としての礼儀を叩きこんだ男だ。
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