幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 部屋の中には行き場もない。他にできることもないから、食べきれなかったパンをこうやって丸めている。
 母が再びリーゼロッテのいる物置に忍んできたのは、真夜中近くなってからだった。

「静かに、そっと歩いてね」

 母の言葉にうなずき、足音を立てないようにして母について廊下を歩く。
 母がリーゼロッテを連れて行ったのは、最初に閉じ込められた物置よりはいくぶんましな部屋だ。母が父にかけあってくれたのだろう。

「明日の朝、またご飯を持ってくるから……いい子にしていてね」

 母のキスが額に落とされ、リーゼロッテはベッドにもぐりこんだ。扉が静かに閉じられる音を聞きながら、考え込む。

(……本当、こんなことになるなんて)

 この部屋は、使用人の使っている部屋だと思う。用を足す場所だけついているが、浴室はない。
 どうして、こんな外れスキルしか授からなかったのだろう。父の言うように、身体に膨大な魔力を秘めているのに、宝の持ち腐れ以外の何物でもない。

「……かたくなぁれ」

 それでも、続けていればスキルが変化するかもしれない。父が望む様な、有用なスキルへと。

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