幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 父である公爵は二人を愛し、大切に扱っているが、愛情がリーゼロッテに傾いているのをリーゼロッテは察していた。
 リーゼロッテの方が膨大な魔力を持っているということもあり、国を守る身としては将来有望な方に目をかけたくなるのだろう。フリードベルク公爵家は、代々王家を守る盾として戦場に立つ国内きっての軍人一族なのだ。

「そうか。リーゼロッテは、妹に譲ることができて偉いな……さあ、フランチェスカ」

 リーゼロッテに言われてから、父はフランチェスカに両手を差し出した。
 もじもじとしながら、フランチェスカは父の腕におさまる。
 お揃いのピンクのドレス。お揃いの髪型。フリルとレースに包まれた愛くるしい娘達の姿に父は目を細める。

「あらあら、フランチェスカは甘えん坊ね」

 続いて部屋に入ってきたのは、公爵夫人である母だ。
 母と娘達の容姿は非常によく似ていた。二人の娘を産んだとは思えないほどほっそりとしている母は、父に熱烈に請われて嫁いできたらしい。
 父の腕の中にいるフランチェスカの頬にキスをし、それからかがんでリーゼロッテの頬に唇を当てる。
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