幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
次に母は、リーゼロッテの方に右手を差し出す。手を繋ぎましょうの合図であることを知っているリーゼロッテは、母の手に自分の手を重ねた。
父がリーゼロッテを優先しているのを知っていて、母はフランチェスカを優先している。今、フランチェスカに先にキスしたのがその証拠だ。
けれど、リーゼロッテは妬む様なことはしない。
(……どこからどう見ても幸せ家族よね。前世とは大違い)
リーゼロッテの口元に、満足の笑みが浮かんだ。
年齢に見合わない落ち着きも、幼女らしからぬ洞察力も、リーゼロッテに前世の記憶があるからだ。
前世の両親がどんな人だったのか、リーゼロッテは知らない。
というのも、リーゼロッテの前世である井(いの)上(うえ)佳(か)奈(な)は、捨て子だったからだ。
身元を示すようなものは何一つ持たず、籠に入れられ、ピンクの毛布がかけられただけで子供を育てている施設の前に置かれていた。籠も毛布も、赤ちゃん用品を売っている店で買うことのできる大量生産品。そこから両親を見つけ出すのは不可能だった。
父がリーゼロッテを優先しているのを知っていて、母はフランチェスカを優先している。今、フランチェスカに先にキスしたのがその証拠だ。
けれど、リーゼロッテは妬む様なことはしない。
(……どこからどう見ても幸せ家族よね。前世とは大違い)
リーゼロッテの口元に、満足の笑みが浮かんだ。
年齢に見合わない落ち着きも、幼女らしからぬ洞察力も、リーゼロッテに前世の記憶があるからだ。
前世の両親がどんな人だったのか、リーゼロッテは知らない。
というのも、リーゼロッテの前世である井(いの)上(うえ)佳(か)奈(な)は、捨て子だったからだ。
身元を示すようなものは何一つ持たず、籠に入れられ、ピンクの毛布がかけられただけで子供を育てている施設の前に置かれていた。籠も毛布も、赤ちゃん用品を売っている店で買うことのできる大量生産品。そこから両親を見つけ出すのは不可能だった。