死神は花を狂おしい程愛してる
学生の頃から(特に母親が亡くなった時)色んな不良や、ヤクザ、暴走族等一人で殴り込みに行き、時には返り討ちにされながら、最強の力を手に入れてきたのだ。

今となっては、蒼士にかなう人間はいないと言っても過言ではないくらいに。

そのくらい、蒼士は人と争ったり殴り合ったりすることが好きなのだ。
その蒼士が、部下に任せると言う。
洋次達が驚くのは、無理ない。

「はい、わかりました。
俺等で殺っておきます」
部下が部屋を出た。

「ねぇ、本当にどうしたの?」
「は?
今日からはできれば、血の臭いさせて帰らねぇようにしようかと思ってな!」
「花楓様のせい?」
「は?
洋次、言葉がおかしい。
花楓の“せい”じゃなくて、花楓の“為”」
「やっぱ、花楓様のせいじゃん!
…………なんで?」
「は?」
「なんで、結婚したの!?
なんで、女の存在一つでそんなに変わんの?
昔は、一人でもよく殴り込みに行ってたじゃん!」
「愛してるから」
「は?」
「それしかない。
理由なんて、それしかねぇよ……」
「俺にはわかんない」
「わかんねぇだろうな…特に洋次は」
「それに、煙草」
「は?煙草?」
「家の中で全く吸ってないよね?なんで?」
「だって花楓が……」
「また…花楓様?」
「ほんと、どうしちゃったの?蒼士」
「だから!」
「今の蒼士は、ボスとして相応しくないよ」
「そう?お前がそう思うならそれでいいよ」
「ねぇ…花楓様がいなくなったら、いつもの蒼士に戻る?」
「は……?」
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