死神は花を狂おしい程愛してる
外に出て車に乗り込んだ、蒼士。

「洋次、煙草」
「ん」
蒼士が煙草を咥え、火をつける洋次。
そして蒼士はネクタイを緩め、シャツのボタンの上の二つを外した。
「あー煙草、うめぇ…」
「蒼士、会長に似てきたね…」
「そう?」
「うん、いかにも“ボス”って感じ」

蒼士が成人してすぐに英士が引退し、蒼士がボスになったのだ。
まぁまだ、英士も完全に手を退いたわけではないので、事実上のボスは英士のままだが。

事務所に着いた、蒼士と洋次。
「ボス、おはようございますっ!」
部下が、ズラッと並び出迎えた。
「………」
「蒼士?どうしたの?」
「これさ…なんとかなんねぇの…?」
「は?何が?」
「この出迎え」
「でも、蒼士はボスでしょ?」
「花楓がさ…」
「は?」
「怖がってんだよな……
本人はなんも言わねぇけど、たぶん……」
「でも、それをわかった上で結婚したんじゃん?」
「そうだけどよ……」
中に入り、椅子にドカッと座った。

「ボス、最近ちょくちょく町を荒らしてたの、清田組の奴等みたいっす」
「は?清田って……
あの清田!?」
「はい、会長が引退してすぐに手のひらを返しやがって……」
「はぁー、あんなに…会長にペコペコしてたのにね」
洋次も呆れたように、ため息をつく。

「どうされますか?」
「任せる」
その蒼士の言葉に、洋次と部下が目を丸くして蒼士を見る。
「いいんすか?」
「は?」
「いつもなら、先頭きって殴り込みに行くじゃん。蒼士」

そう、蒼士はそうゆう男だ。
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