死神は花を狂おしい程愛してる
「いい加減、起きてよ。蒼士、花楓様」
「うるせーな!今起きて、ダイビング行くとこだったんだよ!」
「キャッ!!」
急に洋次が入ってきて、慌ててシーツで身体を隠す花楓。
「どうした?花楓」
「花楓様?」
「え━━?」

二人は、わからないの━━━━?

花楓は不思議だった。
普通、自分の妻が他の男の前で裸なのを見れば、取り乱したりしないのだろうか?
ただでさえ、自分以外の男に見せたくないなんて言う蒼士が、こんな状況……取り乱すに決まっているのに。
洋次もそうだ。
女性のこんな乱れた格好を見て何も思わないのだろうか。

「生見さん、恥ずかしいので……出ていって下さい。
すぐにダイニングに行きますので…!」
そう言って、蒼士の背中に隠れた。
「はい?
二人は夫婦だよね?だったら、セックスなんて普通だと思うけど…?なんか俺、おかしい?」
「洋次、すぐ行くから先に行ってろ!」
「うん、わかった」
洋次が寝室から出ていく。

「花楓、洋次行ったよ!」
「うん…びっくりした……。
どうして、怒らないの?蒼士さん」
「は?」
「だって、いつもなら私を誰にも見せたくないなんて言う位なのに、こんな姿……」
「あー洋次は大丈夫だよ。
例え…花楓でも、アイツは何も感じないんだ」
「え?」
簡単に、洋次の事を話す蒼士。

「アイツは特別なんだ。感情が欠落してるっつうか、情がないっつうか。
それに、基本的に俺の言うことしか聞かない。
あ、でも!
勘違いするなよ!
俺の一番は花楓だからね!
それに、洋次以外の奴はダメだよ!こんな姿見せるの」
「生見さんでも嫌……
こんな姿…蒼士さんにしか、見せれない……」
「うん…そうだね…ごめんな……」
もう一度、キスをした二人だった。
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