死神は花を狂おしい程愛してる
そして、二人がこちらを向いた。

━━━━━━━!!!
「蒼士、こちらが五条家の当主で秀悟。
で、こちらが花楓さんだ」
「………」
「蒼士さん、こんにちは。
初めまして、五条 花楓です」

蒼士の動きが止まった。
この時…もしかしたら、呼吸さえも止まっていたのではないだろうか。

それ程までの、衝撃的な出逢いだった。
蒼士の全てが、花楓に集中する。

一目惚れ━━━━━━

蒼士の感覚全てが、一瞬で奪われたのだ。

知りたい、欲しい…………
目の前の彼女の全てが。

「………士?蒼士!?」
「え?あ…わりぃ……」
「どうした?」
「いや…初めまして、東園 蒼士です」
微笑んで握手を求めると、花楓も微笑み控えめに握り返してくれた。
その小さくて、柔らかな手。
このまま、連れ去ってしまいたい。
蒼士は、そんな衝動に包まれていた。

そのまま、個室に移動した一行。
食事をしながら、たわいもない話をするが蒼士は全く頭に入っていない。

ただ、ひたすら花楓を見ていた。
相槌をうちながら時折微笑んで、受け答える。
そして、食事をする。
その全ての行動に目が離せない。

ある程度話し終えた英士と秀悟が、
「じゃあ…また今度な。
花楓さん、今日はほんとに申し訳なかった。
また今度、ゆっくり食事をしよう」
「そうだな。また連絡をくれ」
と言って、立ち上がった。

「はい。では…おじ様、蒼士さん。
今後はパーティーにも出席しようと思ってますので、その時に……お話しましょう」
そう言って、花楓も立ち上がり外に出ようとする。

「ちょっと、待って!!」
咄嗟に花楓の手を掴んだ、蒼士。

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