死神は花を狂おしい程愛してる
その花楓の手を掴む、古澤。
「え?古澤さん…?」

「花楓様から、手を離してください!
花楓様に触れたら、蒼士様を怒らせてしまう……」
焦ったように、羽山が古澤に言う。
「いや…頼みがあるんです。
蒼士様に力を貸してもらいたいんです!
だから、花楓様から蒼士様に口添えをお願いしたくて……」
「わかりました。お話、聞きますので。
……手を、離していただけませんか?」
花楓が、静かに言った。

「はい、すみません…」
そこで、古澤が手を離した。

「……それで、話って…?」
「はい。
私共の会社はまだ、小さな会社で……
力が欲しくて…金銭的にも……
蒼士様の力があれば、もっと━━━━━」
「えーと、私…お仕事のことあまりよくわかってなくて、それはお金を貸してほしいと言うことでしょうか?」
「簡単に言えば、そうです」
「でも、私でお力になれるかどうか……」
「お願いします!花楓様の父上だって、政略結婚して会社を大きくしたではありませんか!?」
古澤に肩を掴まれる。
「え……?
それは………」
「ちょっ…花楓様に何を……」
羽山が古澤を花楓から引き剥がそうとする。

「離せ!
俺は、花楓様と話を…!!!
お願いします!」
「ちょっ…やめて下さ━━━━」
ビリッ!!
「キャッ…!!」
「花楓様!?」
古澤のあまりの力に、花楓の着ていたドレスの肩の辺りが破れた。

「何…やってんだよ……!?」
「え━━?」
「はっ…!蒼士様!?」
「羽山、お前がいてなぜ…花楓にゴミがくっついてるんだ…?
しかも…俺の花楓に触り、あろうことかドレス破るって………死にてぇの……?」
凄まじい恐怖だ。
この空間だけ、一気に闇の渦に堕ちたような……

「その穢れた手…今すぐに離せ……」
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